シュラフ(寝袋)の選び方徹底ガイド

快適な睡眠により疲れがしっかりととれて、夜眠るのが楽しみになるようなシュラフに出会えるかどうかは、そのキャンプが成功するか否かにかかわるほどの重要な分岐点になります

「重たい・かさばる・暑すぎる・寒すぎる・身体が痛い・つらい・眠れない」

こんなことになってしまえばキャンプそのものに嫌気がさしてしまいかねません

季節、用途、そしてあなた自身にあったシュラフ選びの参考にして下さい

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いつ・どこで・だれが?

どの季節にどんな場所で使用するのか?自分はどのような体格をしているのか?

先ずは使用する環境を考えます

 

使用場所の最低気温は?

最低気温がいったい何度の状況で使用するのかを知っておくとシュラフを選ぶ際の目安となります

注意すべきは、普段過ごしている家の中と同じ感覚で気温を考えてしまう事です、キャンプではテント内であっても外気温がそのまま睡眠時の周囲温度となり、天候によっても状況は大きく変わり得るということを心得ておきましょう

「思っていた以上に寒く眠れなかった」といった失敗例は多く、使用する環境での最低気温はできる限り明確にしておくべきポイントです

 

限界使用温度とは

ここで「限界使用温度」という指標を参考にします

限界使用温度とは「寒さは感じるけれど使用はできない事もないですよ」という温度のことです

(メーカーにより「使用可能限界温度」や「最低使用温度」などと表記は異なりますが、おおむね同じ意味合いです、中には男性と女性向けでそれぞれの適応温度などを示しているものもあります)

ただし、メーカーが公開している限界使用温度は、シュラフがベストの状況で算出した値だと考えておきましょう
実際には、化や収納による中綿の圧縮等でメーカー表示通りの保温能力は無いと考えておいた方が無難です

また、温度の感じ方にも当然個人差がありますので、適応温度には5℃程度の余裕を見て、あくまでも目安として検討した方が良いでしょう

快適さを求めるとなれば、更に余裕を見ておいた方が良いかもしれません

参考に各季節毎の最低気温目安は、夏用:5~10℃、冬用:-5℃以下、3シーズン(春夏秋)用:-5℃~5℃位ですが、もちろん地域や高度により異なります

 

使用する季節は?

購入前に商品を眺めていると、どうしてもシュラフの中に入って、しっかりとジッパーを閉めて使用しているイメージをしてしまいます

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例えば真夏だけに使用するのであれば、それ程温度を気にしなくても薄手のシュラフで十分機能しますので「冬用や3シーズン用のシュラフなんて暑そう」と購入対象から外してしまいがちになります

かといって各季節毎にそれぞれ別のシュラフを購入する必要はありません

もちろんジッパーを全部閉めて、完全に寝袋にくるまって眠ると暑いです、でも状況にあわせてシュラフの使い方を変えれば真夏であっても、冬用や3シーズン用のシュラフでも快適に使うことが出来ます

気温が高ければ下に広げて敷く、布団のように体にかける、ジッパーを全開にしたままシュラフに入る
気温が低くければ首周りの紐まで閉める、レインウェアなど衣類を着用したままシュラフに入る等で調整が可能です

必ずしも中に入ってジッパーを全閉にして使用しなければいけないという決まりはありません

 

寝心地を考える

寝心地に関係してくるのがシュラフのサイズと形状、そして使用している中綿の材質です

まず自分の体格に対してシュラフが小さいようでは快適に眠れるとは思えませんので、多少大きめのサイズを選んでおいた方がいいでしょう

次に形状ですが、シュラフには布団のような封筒型と頭から足の先まですっぽり包まれるマミー型があります

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夏期のみしかキャンプをしないという方ならば、使用感が布団に近く圧迫感のすくない封筒型の方がゆったりと眠れてよいかもしれません、しかし肩口部分が大きく開いている為、保温性が低めですので使用できる期間は限られてきます

また重い・収納サイズが大きいなど持ち運びに不便な面もありますので使用できる場所も限られてしまいます

(封筒型にはシュラフ同士を連結させるタイプのものもあり、家族みんなで寝ることが出来るといったメリットもあります)

通年使用する、移動手段の積載量が限られている等の場合は、寝心地の面からみると、封筒型と比べて多少の圧迫感はありますが、まずマミー型を選んでおいた方が無難です

 

材質で寝心地は変わる

シュラフの中綿に使われているのは大きく分けて、空気を含み保温性の高いダウンと、手入れがとてもしやすい化学繊維の2種類に分けられます

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単純に寝心地の面からみれば、ダウンは多くの空気を含みますので、化学繊維とくらべて軽く、ふかふか感があり寝心地が良いといえます

ここでダウン素材のデメリットを先に挙げておきますと、水濡れに弱く濡れてしまうと膨らみません、保管時にある程度ダウンを膨らませておく必要がある、洗濯には専用の洗剤が必要となる、保管状態が悪いとカビが発生するなど取り扱い面で慎重さが必要になります

そしてもう一点、やはり高級素材ですので化学繊維に比べて値段が約2倍近くしてしまいます

資金に余裕があり、取り扱いに注意できるのであればやはり、寝心地の良さ、保温性の良さ、軽量・コンパクトに収納できるダウンがお勧めだとは思います

ダウン素材を中綿に使用しているシュラフにはFP(フィルパワー)といわれる指標の表記がしてあります

FPとは一定の温度、湿度の条件下で1オンスのダウンが何立法インチに復元するかを測定し数値で表したものです
数値が高いほど空気をよく含むため、軽く保温性が高くなり、数値の600以上のものが上質、700~800のものが最も高機能である事を示します(製造した国により測定の仕方が異なるようです)

対して、化学繊維はダウンに比べて約2倍の重さ、約1.5倍以上の大きさになる製品が多く、携帯性が悪いといったデメリットがあります

積載量にあまり制限がないのであれば洗濯もできて取り扱いが容易、比較的安価な化繊シュラフもありだと思います

 

シュラフ生地にも注目

身体に直接あたるシュラフ内側の生地として多くの製品ではポリエステルを用いていますが、綿などの肌触りの良い素材を使用しているものもありますので確認してみましょう

 

使い心地も考える

シュラフ選びの上でジッパーの位置も意外と大切なポイントです

シュラフにはジッパーが真ん中にあるフロントジッパーと、ジッパーが左右のどちらかにあるサイドジッパーがあり、どちらかといえばサイドジッパーの方が開閉が行いやすいように感じます

自分の利き腕側にジッパーのある方が開閉しやすいのか?それとも反対側にある方がいいのか?かなり使い勝手に影響しますのでよく考えて選びましょう

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シュラフのトラブルで一番多いのはこのジッパー部分です、修理に出せばそれなりの費用もかかつてしまいます、こまめに潤滑油等で手入れしておきましょう

 

収納サイズを考える

ソロキャンプにおいて、もしくはバイクや自転車など移動手段での積載量が限られている場合には、寝心地と同時に検討しなければならないのが携帯性です

シュラフ収納時のサイズがいかに軽量でコンパクトであるかがとても重要なポイントとなります

携帯性に重点を置いて選ぶ場合、形状としては封筒型よりもコンパクトに収納の可能なマミー型を、中綿素材としては化学繊維よりも圧縮性が高く軽いダウンを選ぶことになる(選ばざるを得ない)と思いますので、あらかじめ収納サイズの許容範囲を頭に入れておきましょう

 

f:id:kenji1224138:20161119201136j:image出典:モンベル | オンラインショップ

メーカーによっては上図のように目的別に解りやすくまとめたカタログ等も作成してくれています、購入を希望するメーカーがあれば、HP等で調べて参考にしましょう

 

シュラフに入る服装は? 

あなたのキャンプスタイルにあったシュラフは見つかりそうですか?

もし理想的なシュラフが見つかったとしても、自然が相手のキャンプでは思わぬ事態がおきてしまうこともあります

気温が予想外に下回ることなどはしばしば、この時もしも使用しているシュラフの適応温度よりも外気温が低下してしまったら?きっと寒くて睡眠どころではなくなってしまいます

こんな事態に備えて特に寒暖差の大きな春、秋、冬にテントでシュラフを使用する場合は、必ず防寒着を用意しておきましょう

軽量で通気性が高いフリースや軽量でコンパクトに収納できるダウンの上着・パンツ・靴下があれば足先まで保温でき朝まで暖かく眠ることができるはずです

また服装以外にも保温効果を高めてくれるアイテムとして、シュラフの中に入れて毛布代わりに使用しできるシュラフシーツがあります

シュラフシーツは薄いつくりなのにかなり暖かく、吸湿性もあり汗による不快感も減少してくれて、その上収納時も非常に軽量コンパクトな便利アイテムです

 

マットの準備も忘れずに

シュラフだけでは地面からの冷気や凹凸を完全に防ぐ事ができません、その為シュラフマットの準備も必須となります

シュラフマットも種類によって性能や収納に違いがありますのでこちらもよく調べておきましょう

あなたのスタイルに合ったシュラフがみつかり、キャンプが快適なものになればいいですね