ヘリノックス チェアワンとグラウンドチェアを比較してみた

ヘリノックスチェアの特徴

アウトドアチェアを選ぶ際、あなたは携帯性を重視して軽量・コンパクトなものを選びますか?それとも快適性を重視して座り心地の良いものを選びますか?

チェア選びの上で「座り心地はいいのだけどサイズも重量も大きくて車でないと運べない」、「コンパクトでいいのだけど腰掛け程度にしか使えない」等、キャンプスタイルに合わせてどちらかを犠牲にしなければならなかったはずです。

実際この正反対の性質をもちあわせたアウトドアチェアはそれまでほとんど存在しませんてした。

しかし、これを見事に両立させ、その絶妙なバランスを実現したのがヘリノックスなのです。

 ヘリノックス[Helinox]
1988年に創業したアウトドア用の合金加工のリーディング・カンパニーDAC社が、技術やデザインを生かして立ち上げた人気ブランド

発売当初から人気はすぐに高まり、いまやキャンパーの間では常識とまでなっているその実績から携帯性・快適性ともに相当高い品質であることを伺い知ることができます。

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チェアワン と グラウンドチェアについて

そんなヘリノックス・チェアには様々なタイプがあるのですが、その中でも人気を2分するのが、最もスタンダードなモデルのチェアワンと、最も座面が低いロータイプモデルのグラウンドチェアです

[ヘリノックス チェアワン]

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[ヘリノックス グラウンドチェア]

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ヘリノックス・チェアに辿り着いたものの、どちらのタイプを選んだらいいのか悩む方も多いはずです。

ここからは両タイプの長所や短所も含めて、それぞれの特徴を徹底的に比較していきたいと思います。

 

組み立て方について

先に共通する特徴として2タイプ共組み立ての簡易性が高い点が挙げられます

フレームには分割式の超軽量アルミニウムポールが採用されていて、ポールには全て中にショックコードが通っています

その為、説明書を見なくともポールを差す場所を間違えることがありませんし、ショックコードに引っ張られて、ポールジョイントに勝手に吸い込まれていくような感覚で組み立てることが出来ます

後は座面となるシートのコーナー部分をポールにはめ込んでいくのですが、座面にはテンションがかかるので、対角線上にはめ込んでいくとあまり力もいらず作業しやすくなります。

座面シートのコーナー部分は、補強され破れにくくなっていて、細部に至るまでのこだわりを感じます。

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両タイプともに組み立てにかかる時間は1〜2分程度と、とても簡易に組み立てることが出来ます

 

スペックの比較

まずチェアワンのスペックは次の通り

重量:890g

サイズ:W520×D500×H660mm
収納時:W350×D100×H120mm
座面高:34cm
耐加重:145kg 

 

次にグラウンドチェアのスペックです

重量:615g(▲275g)

サイズ:W520×D440×H500(▲160)mm
収納時/W300×D110×H110mm
座面高:22cm(▲11cm)
耐加重:120kg(▲25kg)

※スペックのうち、赤字がチェアワンとの相違箇所、カッコ内が目立つ差異、太字が特に目立つ相違箇所です。

全体的にグラウンドチェアがコンパクトに設定されていることがわかります。

共に1kg以下と非常に軽量で、片手でも持って運ぶことのできる重量ですが、登山等でトコトン軽量化にこだわるのであれば、この重量感での300g近くの違いは大きいのかもしれません。

次に、耐加重についてはチェアワンに分がありますが、どちらもその華奢なフレームからは想像もつかない120kgオーバーの高耐加重、通常使用ではまず問題のない数値といえます。

最も大きな違いはやっぱり座高面です、11cmの違いは座り心地にかなり影響を与えます、座り心地(快適性)については後ほど詳しく紹介していきます。

 

安定性の比較 

安定性について2タイプには大きな違いがあります。

地面に対してチェアワンが「点」として当たるのに対し、グラウンドチェアはフレームの組み方が接地面もポールで連結されているため「線」として当たります(※固い平面でこの椅子を使う場合、地面と接するのはジョイントのプラスチック部のみです)

このため、地面の状態によってそれぞれの安定感は異なってきます。

チェアワンが特に苦手とするのは柔らかい地面や砂地で、状態によっては沈み込んでしまう事もあります。

アクセサリーとして脚先に取り付けるキャップ(ヘリノックス ボールフィート)やチェアの下に取り付け可能なグラウンドシートがありますが、当然コストアップにつながりますし、携帯する荷物の量が少量とは言え増えてしまいます。

[ボールフィート]

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[グラウンドシート]

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次にグラウンドチェアの苦手とするのは石や岩などで凹凸のある場所です、こういった場所での使用では整地等の作業が必要となってしまいます。

また、同一条件の平地で2タイプのチェアを使用した場合、チェアワンはグラウンドチェアと比べると横の力に弱く、体勢によっては、若干横にぐらついてしまう事もあるようです。

以上から本体のみで見ると、グラウンドチェアの方が安定性では優れているのではないかなと感じます。

 

作業性の比較

何かと作業の多いキャンプですが、座った状態での作業性について比較してみます。

まずチェアワンについて、背もたれ部分に背を預けた通常の座り方から前のめりに体勢を変えていくと、吊り下げ式のシートがお尻を包み込んだまま、体の重心に合わせてホールド感がついてくるような感じがあり不安定さが全くありません

かなり前かがみになっても動きを受け止める柔らかさが有り安定したままなので作業性は高いと言えます。

次にグラウンドチェアですが、着座時は地面から10cm程度と座面がかなり低く、さらにその状態で足を伸ばしてゆったりとくつろぐ為、深めのシート設計になっています。

座面が硬めで体重をかけても必要以上に沈み込み過ぎることはありませんので、体を起こしにくいと言う訳でもありませんが、作業性の面で言えば、やはりチェアワンに劣ります。

f:id:kenji1224138:20161124201319j:image出典:Helinox Ground Chair - TRAIL HIKING AUSTRALIA

 

快適性の比較

どちらのタイプも吊り下げ式シートで、ハンモックのようにつつみこまれる感覚

背もたれ部分はあまり高くありませんがしっかり背を預けることが出来て快適な座り心地です。

グラウンドチェアはこの座り心地に、その座面の低さから脚を投げ出す楽さが加わりますが、その反面、人によっては地面に手をつかないと立ち上がれない程の立ち上がりにくさがあります。

頻繁に立ち上がったり座ったりせずに、とにかくのんびりと過ごすスタイルの方にはグラウンドチェアがおすすめです。

また座面の生地はリップストップナイロンとメッシュ生地(タイプによりメッシュの位置が異なります)なので放熱性が高く、暑い季節にも快適に使用する事ができます。

気温の低い季節にはアクセサリーとしてシートウォーマー(チェアのシートに装着し、保温力を高めるダウン中綿入りのカバー)もラインナップされています。

[シートウォーマー]

f:id:kenji1224138:20161124221225j:image出典:Helinox(ヘリノックス)|アウトドアライン公式ブランドサイト by モンベル

 

収納袋(スタッフバッグ)について

2タイプとも収納方法は同じで、生地を畳み、ポールを真ん中において包みこむだけと簡単なのですが、これを収納するスタッフバッグには違いがあります。

まずチェアワンのスタッフバッグは、収納サイズが350×100×120mmとなっています、取り出し口がファスナーになっていて、サイドが全開閉できるようになっているので、取り出し・収納が行いやすく、格好の良いデザインになっています

[チェアワン スタッフバッグ]

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また、両サイドについてある耳をポールに通しておく事で小物入れとしても使用すことができます。

次にグラウンドチェアのスタッフバッグですが、収納サイズは300×110×110mmとなっていて、チェアワンのものよりも高さが無くて、横が若干太めのつくりになっています。

少し余裕のある袋の大きさになっていますので収納はしやすいのですが、取り出し口は巾着型でデザイン的にはチェアワンと比べると極普通といえます

[グラウンドチェア スタッフバッグ]

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まとめ 

以上、チェアワンとグラウンドチェアを比較してみました。
安定性ではグラウンドチェア、作業性ではチェアワン優位、快適性はともに一日中でも座っていられる程の座り心地ですので、スタイルによるといった感じです

薪を割って火をおこしたり、料理をしたりと色々な作業を楽しみたい方には作業性の高いチェアワン。

自然のなかで本を読んだりコーヒー淹れたり、とにかくのんびりと過ごすキャンプの好きな方ならグラウンドチェアがおすすめだと思います。

キャンプのスタイル、使用する場所、使用する人の体型や体格、もちろん見た目の好みによってあなたにぴったりのチェアを選びましょう。